誰もが障害の有無を超えて
社会に参画できることを証明する。
違いを超えて、誰もがつくる側に立てる。
ともに考え、新しい価値を生み出す。
違いがあるからこそ生まれる共創の機会と環境を、私たちはつくり続けます。
ためにから、ともにへ。
私たちが向き合う社会課題
社会的マイノリティの人々が社会参画するための支援は増えてきました。しかし、まだ解決されていない大きな壁があります。それは、いざ共に活動する段階での不安や戸惑いです。
初めて視覚障害のある同僚を迎えたチームは「どう一緒に働けばいいのか」が分からず戸惑います。一方でその同僚自身も「どう工夫すれば互いに心地よく協力し合えるか」と悩むことがあります。
これは、どちらか一方の問題ではありません。多様な人々が共に活動する機会そのものが、社会の中でまだ十分に設計されてこなかったことの結果です。
Collableが焦点を当てるのは、従来の「個人へのアプローチ」だけではなく、属性が異なる人々が属する集団(チームや組織)の側が更新されることです。集団そのものが、多様な個性を力に変えて価値を生み出せるよう、環境と関係性をデザインします。
私たちの考え方:
「ためにから、ともにへ」
マイノリティ属性を持つ人を前にしたとき、多くの人は無意識に「ために」という姿勢をとります。支援する側とされる側が固定され、その人の意思や能力よりも先に、属性が参加の可否を決めてしまう。これは善意から来ることも多くありますが、結果として協働の機会を奪っています。
Collableが目指すのは、その固定観念を実践を通じて崩すことです。関わりたいと思う人が、誰でもつくる側に立てる。参加の入口を「属性」ではなく「目的に向かおうとする意思」に置くことで、障害の有無や国籍、年齢に関わらず、フラットな協働が成立する状態をつくります。
これは、みんなと分け隔てなく仲良くしましょうという話ではありません。目的を共有した上で、ぶつかりながらもともにやりとげる経験をつくること。その経験の積み重ねが、「ために」から「ともに」への関係性の転換を生みます。

変化のモデル(Theory of Change)
- 共創が成立する(理解が揃っていなくても共同作業が進み、価値創出を実感できる)
- 協働の成功体験が生まれる(一緒にやりとげた経験が残る)
- 固定観念が崩れる(多様な人との協働・共創は難しい、という前提が揺らぐ)
- 2つのアウトカムが同時に立ち上がる
・価値創出(共創):多様な視点が創造プロセスに組み込まれ、新しい市場・商品・意味が生まれる
・組織の持続可能性:運営前提が更新され(参加条件が「設計対象」になる)、柔軟性・受容性・適応力が高まる - 実践が再生産される(再現可能な型として広がる)
思想と手法
インクルーシブ・ファシリテーション
Collableの実践の根幹をなす思想です。参加者の多様な立場や背景を前提にしながらも、立場や理解をあえて揃えずに共同作業を成立させ、その経験によって関係の前提が変わる状況を設計する実践です。
場の中には必ず非対称性(立場差、経験差、情報差、身体差、発言しやすさの差)があることを前提とします。その非対称性を自覚しながらも活かす共創の実践をする。ここにCollableの独自性があります。
多くの場が「参加できる場をつくる」にとどまるのに対して、Collableが生み出すのは「一緒にやることが機能する」状態です。異なる者同士が協働することの妥当性を、実践を通じてつくり続けます。
インクルーシブデザイン
インクルーシブ・ファシリテーションの思想のもとで実践される、新しい価値を生み出すための手法です。商品やサービスの企画・開発の初期段階から、障害者や高齢者などの「リードユーザー」を巻き込み、共にデザインする営みです。
リードユーザーの日常の工夫や独自の視点は、開発者だけでは気づけないインサイトをもたらします。Collableは、リードユーザーを単なる被験者ではなく、未来を共に描く創造的パートナーとして位置づけます。
リードユーザーとは
障害のある人や高齢者など、既存の製品やサービスでは対応しきれない状況に日常的に直面している人々のことです。その経験から生まれる独自の工夫や視点は、開発者だけでは気づけないインサイトをもたらします。Collableは、リードユーザーを課題の被験者としてではなく、新しい価値を共につくる創造的パートナーとして位置づけています。
Collableが提供する3つの変化
私たちは、インクルーシブデザインを「単なる開発手法」ではなく、「組織の創造性と学習能力を高めるエンジン」と捉えています。プロジェクトを通じて、組織に以下の変化をもたらします。
1. 関係性の再設計
多様な他者と協働するための「心理的な安全性」と「具体的な環境づくり」を整えます。単なる交流で終わらせず、互いの違いを前提とした共創・協働のプロセスを構築し、摩擦を創造性に変える関係性をつくります。
2. 学習の蓄積と資産化
「一度やって終わり」にせず、プロジェクトで得られた気づきや協働のノウハウを言語化・構造化し蓄積します。次の事業開発や意思決定に活かせる状態を目指します。
3. 「価値創出」と「学習」の両輪
新しいアイデアやプロダクトを生み出す「事業成果」と、未知の状況に対応できる人材を育てる「学習成果」。この2つを切り離さず、同時に回し続けることで、持続可能なイノベーション体質へと変化させます。
組織横断プロジェクトとしての展開
リードユーザーを巻き込むプロセスは、マーケティング、人事、採用、広報など部門を越えた連携を必要とすることがあります。現場での実践を通じて、組織全体の「当たり前」を更新し、全社的な変革を促します。
プロジェクトポリシー
私たちが企業・団体・自治体などの皆さまとご一緒する際に、「どういう価値観でプロジェクトを進めるか」「どんな姿勢で一緒に取り組みたいか」をまとめました。
- まだ見ぬ理想を、一人ひとりと探します(多様性)
- ひらいて、一緒につくります(開放性)
- 学びを、個人とチームに還元します(学習)
- 不確実性を、味方にします(柔軟性)
- 揺れを抱え、対話を続ける文化を育てます(レジリエンス)
- 境界をまたいで、つなぎ直します(越境)
- ユーモアと遊び心で、関係をつくります(遊び)
代表プロフィール

特定非営利活動法人Collable 代表理事
山田 小百合(Sayuri Yamada)
1988年生まれ、大分県出身。日本女子大学家政学部家政経済学科卒業、東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。知的障害・自閉症の兄と弟がいる経験から、障害の有無をこえたインクルーシブな場のデザインとその学びに関心をもち、大学院に進学。在学時よりインクルーシブデザインワークショップや多様なこどもたちとのワークショップの実践研究に取り組む。
大学院修士課程修了後の2013年、実践研究を延長させるかたちでNPO法人Collableを設立。障害に限らないあらゆる多様な人たちとの共創のための場づくりやプロジェクトに多数関わる。現在は企業や自治体、ミュージアムなどでインクルーシブデザインによる商品開発や環境設計、人材育成や学習プログラムなど、様々な領域のプロジェクトに関わり、その方法や考え方を届けている。
学術論文(査読あり)
安斎勇樹・塩瀬隆之・山田小百合・水町衣里(2013)インクルーシブデザインワークショップにおける共感的理解を促すアイスブレイク手法の提案.日本教育工学会論文誌,37(Suppl.),97–100.
https://doi.org/10.15077/jjet.KJ00009957524
安斎勇樹・平野智紀・山田小百合・塩瀬隆之(2018)視覚障害者との対話を通した美術作品鑑賞の実践.美術教育学研究,39,27–38.
https://doi.org/10.24455/aaej.39.0_27
研究発表
内海 池美・山田 小百合・尾澤 重知(2016)「航空会社職員におけるグランドスタッフの経験が部署異動後の職に及ぼす影響」『日本教育工学会研究報告集』16(4),185–192.
山田 小百合・森 玲奈・山内 祐平(2013)「ワークショップにおける自閉症児と健常児の社会的相互作用に関する研究」『日本教育工学会研究報告集』13(1),319–324.
寄稿
山田小百合(2016)「インクルーシブデザインの必要性とその実践」『くらしと協同』19,27–33.
山田小百合(2021)「インクルーシブデザインの実践的手法―多様なニーズを施策・事業に結びつけるために―」『ガバナンス』248,45–47.