「 こどもワークショップは"拠り所"をつくれるか!? 緊急カイギ」を開催しました!

2017年3月11日、2016年度の最後の講座「遊びとアートとワークショップ研究会vol2. こどもワークショップは"拠り所"をつくれるか!? 緊急カイギ」を開催しました。ゲストにアーティストの中島佑太さんをお呼びして、中島佑太さんのワークショップの事例から、その場所が集う場になり続けるメカニズムについて考えていきました。

「ルールを守って正しくあそぶ」会場になりました

今回の内容は、中島佑太さんの手がけるワークショップで起こっている2つの事例と事象についてお話いただき、中島さんの問いかけに対してオープンディスカッションに挑戦するというもの。
なぜ「挑戦」なのか。それはこの研究会の前にも中島さんとディスカッションをしてきたのだけど、この議論の面白さがどこまで伝わるのか、試行錯誤が必要なテーマだという認識があったからでした。
今回は「ワークショップは”拠り所”をつくれるか!?」という問いに関連する、中島さんの2つの事例を見ていきながら、みなさんで良い方向を模索していきながら、ワークショップが創る「居心地」の秘密に迫りました。

中島さんはアーティストとして、ワークショップを作品にしています。美術館やアートプロジェクトに始まり、気づけば学校、そして今は幼稚園にも時折滞在しながら、こどもたちとの関わりの中にワークショップの可能性を見つめています。こどもたちとの活動を通じて出てきた疑問が、拠り所としてのワークショップの価値でした。

1つ目の事例は、彼が活動拠点としている前橋の美術館での企画で、ある団地を舞台にしたワークショップの企画がありました。いわゆる美術館のアウトリーチ活動で、最初は「LDKツーリスト」というワークショップをおこないました。美術館に行く人が、団地に訪れることがワークショップとなっていて、団地の換気扇をかいでその家の食卓を想像する、というものでした。
その後、団地の民生委員のみなさんの協力などにより、2ヶ月に1度、団地の集会室でワークショップを定期開催することになりました。最初は40人ほど参加してくれましたが、日に日に参加者が減少。自治会からの理解をいただけない側面もあり、そして誰もこなくなってしまいました。移民のこどもたちもいて、積極的にワークショップ的な学習機会にアクセスし慣れていなかったり、ワークショップ的学習感がどうしてもなじまなかったりするハードルを感じた中島さん。
今そこに「ワークショップ」とは言わない形で(現時点では学習支援室という名目で)もう一度団地に馴染んでいこうとしています。学習支援だけど、隣ではワークショップのような工房的場が用意されているというしつらえを想定しています。果たしてそれは効果があるのか、本当にそのアプローチでいいのか、疑問を感じていました。

ふうせんをつけたまま、トークがはじまりました。

 

ここでもう1つの事例が紹介されました。実際に今も訪れている、前橋市の清心幼稚園を通じた活動での”拠り所”事例です。幼稚園に長らく、そして時折滞在している中島さんは幼稚園を卒業しても大人気で、卒園したこどもたちと「今月のワークショップ(略して「こんわく」)」を清心幼稚園にて実施しています。
そんな中で、卒園生の中で登校拒否になりかけている子がいるらしく、その子についていろいろとお話をしてくれました。その子は「なかじ(中島さんのこと)のワークショップには絶対行く」という強い信念があり、どんなワークショップも可能な限り参加しているそうです。とても工作が好きなその子は、一方で学校に合わず、親御さんが困っている様子でした。その後どうやら、自分のクラスには行かず、特別支援学級に通っているそうで、どうやらそこで「工作教室」を構え、工作を教えているそうでした。唯一学校で、自分の工作について認めてくれる場所だと認識をして、彼はそこに居場所を作り始めているとのことでした。

2つの事例は非常に極端な事例で、ワークショップがなじまない事象と、ワークショップがなじみすぎている事象の中で、今何をしたらいいのだろうということを考えているようでした。
ある側面では強い拠り所となっているワークショップですが、別の側面から見てみるとそもそも集うことが難しい。そうした狭間の中で、今ワークショップそのものに何が求められているのでしょうか。

後半のディスカッションでは、それぞれの事例について、参加者から意見をいただいたり、よりなにか良くなるための改善案をいただきながら、ディスカッションを深めていきました。
これがもし都内の事例であれば、この現象に中島さんもその周囲の人も気づかなかったかもしれません。都内とは異なり、場の選択が少ない地域だからこそ目立つ事例なのではと考えられます。ワークショップがなくても自分自身が安全でいられる場が複数あり、それらが場の提供者側にも見えるのであれば、こうして後々気にしなかったかもしれません。かといって、闇雲に拠点が増えていけば届けられるというわけでもないように思います。
馴染みすぎているところと、全くなじまない間にどんな活動を置くといいのか、という視点で考えていくと何かヒントがありそうな事例だなと考えます。ワークショップを強く欲しているひとたちには、自ら次のステップにつながるような別の刺激があると、極端にどこかを拠り所にしすぎないし、一方でまだワークショップへの関心が薄い人達に、その面白さを伝えるには別の側面が必要なのかもしれません。
そういう意味では、その「間」を定めて、「ワークショップ」を拡張していくための「何か」が必要なのかもしれませんし、そのために何があるといいのかを、実験しながらまた考えていく、ということをしていく他ないのだろうと思います。

まずは中島さんの問題意識をみなさんと共有して、このお題をより深めていく次の機会があるといいのだろうなと感じます。何かしらの形で生み出せればいいなと感じています。また、「同じような悩み抱えてます!」という方や「ぜひ一緒にやりたい!」という声をあげてくださった方もいらっしゃいましたので、そういう意味でもCollableではネクストステップの場をどこかで用意できればなと思っています。(いつになることやら・・・)

最後に、ゲストでお越しくださいました中島佑太さん、そして途中から幼稚園の立場としてコメントをくださいました栗原啓祥先生、どうもありがとうございました!