Collable年次報告[2023年度]
代表からのごあいさつ
2023年度は設立からちょうど10年を迎えました。10年前を振り返ると、インクルーシブという言葉がまだまだ一般的ではなく、その言葉の意味やニュアンスを伝えることだけでも苦労した日々が思い出されます。
あれから10年、インクルーシブデザインという言葉に限定すれば、その意味は拡張され、インクルーシブという言葉をつかったあらゆる理念、取り組み、キーワードなど、あちこちで見られるようになりました。
その背景にはいろんな要因がありますが、どういう形であれ、インクルーシブというキーワードがどこかの領域に限定された言葉でなくなってきていることを示しています。社会の中で取りこぼされがちだった人、知らず知らずのうちに排除されてしまっていた人の存在に気づく社会になりつつあります。そして、誰もが「当事者」として生きづらさを抱えたり、苦しい状況となる可能性もあり続けます。
インクルーシブであることは、その生きづらさや苦しさを解決する手段ではありません。インクルーシブデザインをすれば、インクルーシブであることが達成されるわけでもありません。人も環境も関係性も変わりゆく中、誰もがいきやすい、いやすい、過ごしやすいと思える環境は常にアップデートし続ける必要があります。そうした気づきをあらゆる人と共有し続けられる取り組みを続けていきたいと思います。
引き続き「ためにからともにへ」をみなさんと共に実現できたらと思います。
前年度の実績
昨年度は、プロジェクトを共にした企業や行政のみなさま、そして日頃コラブルを支えてくださる支援者のみなさまのお力で、インクルーシブデザインを活用したプロジェクトから、障害当事者のキャリアをサポートするプロジェクトなど幅広い分野に活動を広げることができました。
本記事では、昨年の主な実績をいくつかピックアップしご紹介いたします。
インクルーシブデザインプロジェクト
2023年度は、行政との場のアップデートに関するプロジェクトや、企業とのプロダクト開発案件など、計4プロジェクト、9ワークショップを開催。「誰もが社会に参画できる」未来に近づくプロジェクトを様々な分野で広げることができました。
PICKUP① 防災をアップデートするワークショップ【株式会社KOKUA】
防災サービスの開発・販売等を行う株式会社KOKUA と防災をアップデートするワークショップを開催。
聴覚障害、視覚障害、身体障害のある方々をリードユーザーに、グループ内の参加者全員が同じ避難所で生活した際のことを想定し、不安になりそうな場面などを話し合いました。その後、限られた予算内で自分に必要な防災グッズを取捨選択するワークも実施。
多様な人たちがともに防災に取り組めるためにどんな観点が必要なのか、非常時の過ごし方や必要なモノは一体何なのか、について議論が繰り広げられました。
PICKUP② 図書館・美術館を様々な人にとって訪れやすいに【練馬区】
練馬区の文化芸術に関する地域課題に取り組む、『「みる・よむ・体験する」 ねりまフォーラム実行委員会』と、練馬区内の美術館と図書館の2館で、アクセシビリティー向上のため、ワークショップを実施。
ちひろ美術館・東京では、外国にルーツを持つ地域の親子や、視覚障害がある男性、車いすユーザーの大学生をリードユーザーとし、「あらゆる人にとってのファーストミュージアムとは?」をテーマに、より多様な人たちが訪れてくれる美術館を目指し、ワークショップを行いました。
石神井図書館では、読字障害(ディスレクシア)を抱え文字の読みづらさを感じる人をリードユーザーとして招待し、様々な人が足を運ぶ図書館を目指しワークショップを実施。ディスレクシアの人たちに限らず、本が好きではない人や図書館に行かない人などに広く効果を波及させていく視点やアイデアを考える時間となりました。
PICKUP③ 誰もが歓迎される博物館へ【乃村工藝社】
日本初となるインクルーシブデザインによる博物館常設展リニューアルとして、2019・2020年にワークショップを行った徳島県立博物館にて、リニューアル後のワークショップを開催。
博物館やイベント空間、商業施設向けのデザインを行う乃村工藝社と、日本初のリニューアルを行なった徳島県立博物館を舞台に、ミュージアムでのインクルーシブデザインを活用した取り組み方をまとめるプロジェクトを実施。
当日のワークショップでは、2019年に協力いただいたリードユーザーに参加いただき、当時未体験だった学芸員の方にインクルーシブデザインの手法を活用した共創体験を届けることもできました。
認定リードユーザー第1期が誕生
インクルーシブデザインプロジェクトに欠かせない「リードユーザー」の方を、Collable公式パートナーとして迎え入れる制度をスタート。昨年度は第1期として視覚障害のある方を対象に座学と実践からなる研修を行い、6名の認定リードユーザーが誕生しました。
障害学生ライフキャリア学習支援「GATHERING」
昨年度のメイントピックは、「100の職種プロジェクト」の始動。9名の障害のある社会人の方へのインタビュー記事を公開しました。本企画では、障害のある社会人がどんな職に就きどのように働いているのか、100通りの働き方の発信を目指し、Collableでインターンを行う障害当事者の学生たちがインタビューを実施。キャリアに悩む全国の障害当事者と、これからの社会に、多様な選択肢を届ける取り組みが生まれました。
イベント登壇・メディア掲載
2023年度は下記のイベントに登壇、メディア掲載をいただき、Collableの取り組み・考え方をより多くの方に広める機会となりました。
メディア出演
・ 2024年1〜3月 第1・2回「WebメディアDIVERSITY IN THE ARTS TODAY ラジオ企画 RADIO インクルホイ!」主催:日本財団DIVERSITY IN THE ARTS
・ 2023年7月19日「INCLUSIVE DESIGN Talk @YouTube」主催:PLAYWORKS株式会社
イベント登壇
・ [講義登壇]2023年10月「千葉大学科目 NPO・NGO論」
・ [コンソーシアム参加]2024年2月「インクルーシブな学び東京コンソーシアム 設立総会」主催:東京都教育委員会
[イベント参加]
・ 2023年6月7日「第1回研究会 障害学生のためのキャリア支援の現状とこれから ~大学内・間・外連携の可能性~」 主催:大学職業指導研究会
・ 2023年7月2日「子どもの未来をともに考える講演会」主催:山陽グローバルパートナーズ
・ 2023年7月13日「就活準準備ゼミ 第3回就職活動 PLAN B」主催:マイナビSTART
・ 2023年9月10日「舞台チョークで描く夢 アフタートーク」主催:劇団TRASHMASTERRS
・ 2023年10月27日「超福祉の学校@SHIBUYA 2023 シンポジウム:インクルーシブな生涯学習活動を充実させるために必要なこと~文化芸術活動を事例に~」主催:ピープルデザイン研究所
・ 2023年2月23日「第1回雇用創造フォーラム 分科会・インクルーシブデザインってなに? 〜新しい価値を生み出す!違いが生きる環境の作り方~」主催:神奈川県中小企業家同友会
・ 第4〜8回「障がい者雇用のあるある座談会 @X(旧Twitter)スペース」主催:パラちゃんねる
・ [ファシリテーターとして参加]第2〜8回「障がい者雇用担当者交流会FLATセミナー」主催:パラちゃんねる
会計報告
支援方法
ダイバーシティ&インクルージョンの実現を一緒に目指しませんか?
Collableでは「ために」から「ともに」を実現していきたいと思っています。
◎寄付する
1回のみの単発寄付もしくは継続寄付をお選びいただけます。継続寄付の場合月額500円からご支援いただけます。ご自身に合ったご支援方法で、ご協力いただけましたら幸いです。
https://collable.org/donation
◎企業・団体の方へ
社員参加型のワークショップや社内研修の実施、インクルーシブデザインに関連したプロジェクト実施、障害のある若者の採用に関するご相談やインターンシップの実施、その他イベント登壇、講演など、さまざまな方法で協働を進めています。ご検討段階からお気軽にご相談ください。